研究課題/領域番号 |
05640352
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
服部 敏彦 徳島大学, 総合科学部, 教授 (90035684)
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研究分担者 |
林 俊夫 香川大学, 教育学部, 教授 (20035900)
若泉 誠一 徳島大学, 医療技術短期大学部, 教授 (90033886)
日置 善郎 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (90173129)
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キーワード | B中間子 / 標準模型 / カイラリティ / 荷電共役空間反転対称性 / 右巻きゲージボゾン / 右巻き荷電流 / 重クオーク有効理論 / D中間子 |
研究概要 |
実験的に未確定のbクオークからcクオークへの崩壊荷電流のカイラリティを調べるための手段としてbからcへの荷電流が標準模型とは反対に右巻きで、bからuへの荷電流が左巻きであるような模型をつくって、現象論的な分析をおこなった。その結果、中性K中間子系において既に発見されている荷電共役-空間反転結合(CP)対称性の破れを与える一つの量(ε)の大きさを説明するためには、この模型の、クオークの右巻き混合行列に現れる位相に特別に小さな値を与えなくても、ごく自然にオーダーO(1)の大きさで良いことが判明した。また、中性K中間子系のCP対称性の破れを与えるもう一つの量(ε′)の実験値を説明するように左巻きWゲージ・ボゾンと右巻きボゾンとの混合パラメータと位相との積を調節すると、中性子の電気双極子モーメントの理論値が、現在の実験による上限値の範囲内に得られた。更に、中性B中間子の種々のインレプトニック崩壊モードにおけるCP非対称量の、標準模型のそれと著しく異なるふるまいが得られた。このCP非対称量が将来建設されるBファクトリーにより測定することが出来れば、このbクオークからcクオークへの荷電流のカイラリティを決めるのに役立つと思われる。 また、今年度は、B中間子とD中間子の崩壊を、フレーバ・スピン対称性による重クオーク有効理論により、bクオークとcクオークの質量の逆数による展開の1次補正項を含めて、統一的に分析することを試みた。その結果、B中間子の崩壊はこの対称性により良く説明されるが、D中間子の崩壊の場合は、擬スカラーであるK中間子への崩壊はよいが、ベクトル粒子であるK^*中間子への崩壊は、実験値に対して理論値が若干ずれることがわかった。これは、sクオークが有効理論の上で、必ずしも重いクオークに分類できないことを示しているのかもしれない。
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