(1)ニュートリノ長距離加速器実験:任意の球対称重力ポテンシャル中で有効な物質中でのニュートリノ伝播の方程式を新たに導いた。これを基に地球の物質中でのニュートリノ伝播を取り扱う数値計算コードを新たに作成した。このコードは任意の密度分布を持った球対称天体中でニュートン定数の1次まで正確なニュートリノ伝播の記述を与える。これを使ってニュートリノ重力相互作用に関する等価原理の破れの効果の分析を実行した。これによって等価原理の検証精度をさらに精密に決定できることになった。FERMILABのMain Injectorをビーム源としSOUDAN2、DUMANDをそれぞれ検出器として使う場合、等価原理の検証精度はそおれぞれ10^<-14>10^<-15>であることがわかった。この結果は、ニュートリノ長距離加速器実験を使った新しい方法によって、これまでにEotvos-Dicke型の実験で得られた精度を2-3桁向上させることができるという画期的可能性を意味する。(2)太陽ニュートリノを使った等価原理の検証:太陽ニュートリノ問題の存在を考慮しつつ、太陽ニュートリノを使って等価原理の検証を行なう可能性に関する研究に着手した。(3)銀河内超新星からのニュートリノの物理:電子ニュートリノと酸素との反応の反応断面積の計算は主に共同研究者のウイック・ハクストン教授らの努力によって進められてきた。5年度中に一応の結果を得る予定であったが計算技術上の問題からまだ答えを得ていない。(4)スーパー神岡地下検出器の改良案の理論的検討:中性カレントによる励起状態が観測可能なガンマ線を伴って崩壊するような都合のよい核種としてMgを検討した。が、ガンマ線の強度が充分ではないという結論を得た。
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