研究概要 |
(1)ニュートリノ長距離加速器実験および太陽ニュートリノを使った等価原理の検証:ニュートリノ重力相互作用に関する等価原理の破れの効果を考慮して、CERNで進行中の短距離ニュートリノ振動実験(CHORUS実験)の分析を行った。フレーバー混合角が重力混合角と異なる一般の場合を分析し、論文にまとめた。同様の定式化をスカラーおよびベクトル場の場合に拡張し、ニュートリノを使って「第5の力」に対する制限を導く可能性を検討した。さらに、この方法についての理論的基礎を明らかにするために、測地線が簡単な太陽ニュートリノの場合をとって、定式化の座標系依存性の問題を検討している。 (2)銀河内超新星からのニュートリノの物理:最近、Qian,Fuller,布川等によって、ニュートリノ・フレーバー混合の、超新星爆発におけるr-過程元素合成に対する影響についての理解に進展がもたらされた。これをさらに発展させ、スーパー神岡地下検出器での観測的帰結を明らかにする。特に、ニュートリノが天体物理学的制限を満たす小さい磁気能率を持つ場合の観測的特徴は現在までに正しい取り扱いがなされていないので、これを実行中である。 (3)スーパー神岡地下検出器の改良案の理論的検討:中性カレントによる励起状態が中性子を伴って崩壊する核種として、Liの可能性(水溶性の化合物としては、LiCl)を検討を行った。Liはいくつかの反応で壊されるがそのいづれにも中性子を含む。中性子は水中でthermalizeされた後Clに45barnという大きな断面積で捕獲される。このCl励起核は電磁カスケードとして8.5MeVのエネルギーを放出する。と言う訳で有望な可能性があるが、残された問題はスーパー神岡地下検出器中での中性子バックグラウンドの量である。
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