研究概要 |
1.ニュートリノを使った等価原理の検証:異なったフレーバーを持つニュートリノが非普遍的な重力相互作用を持っていると仮定し、このときに生じる等価原理の破れの効果を実験的に検証する方法についての研究を継続した。活動銀河核からのニュートリノを使うことによって最大の検証精度を得ることができることを見いだした。(Alexei Smirnov教授(ICTP,Trieste)のとの共同研究)期待される精度は質量のないニュートリノに対して10^<-41>、質量を持ったニュートリノに対して10^<-35>であった。これらは太陽ニュートリノを使って到達できる精度をそれぞれの場合に約20桁、および15桁改善できることを示している。また巨大ブラックホールという活動銀河核の重力源のコンパクトさから、活動銀河核から放出されたニュートリノに対して重力的MSW効果という新しい現象が起きることを初めて指摘した。 2.銀河内超新星からのニュートリノの物理:最近のQian,Fuller,布川等による、ニュートリノ・フレーバー混合の、超新星爆発におけるr-過程元素合成に対する影響についての研究をさらに進め、スーパー神岡地下検出器での観測的帰結を明らかにするための検討を、特にニュートリノが天体物理学的制限を満たす小さい磁気能率を持つ場合について行なった(継続中)。 3.太陽ニュートリノ・大気ニュートリノ観測、加速器・原子炉ニュートリノ実験の総合的分析:暗黒物質として都合がよい5-10eV程度の質量をもつニュートリノの存在の条件の下で、ホームステイク、神岡、SAGE,GALLEXの4実験で得られた太陽ニュートリノデータ、神岡地下検出器による大気ニュートリノ観測のデータ、加速器・原子炉ニュートリノ実験のデータを分析し、レプトン・フレーバー混合の構造を明らかにした。
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