太陽フレアにおける粒子の加速機構は、依然として謎に包まれているが、その実験的研究は、惑星間空間へ放出された高エネルギーフレア粒子の直接観測と同時に、加速された粒子が太陽表面でおこす核反応からのガンマ線の観測によって進められている。 「ようこう」衛星によって観測されたガンマ線スペクトルの解析結果から、ガンマ線を放射するフレアには2つのタイプがあることが示された。第一のタイプは、電子の制動放射による連続スペクトルと、イオンの核反応による核ガンマ線ラインの両成分が強く放射されるフレアであり、第二のタイプは、電子に制動放射成分が、核ガンマ線ラインに比較してきわめて顕著に放射されるフレアである。前者は、電子とイオンとが効率よく加速されたのに対し、後者は、電子がイオンにくらべ選択的に加速されていることを示唆している。このような粒子加速の違いが、フレア領域の磁気ループの形状や構造に関連させて研究することが、今後の課題となるであろう。 次にX線およびガンマ線の放射強度の時間変化の解析から、スパイク構造をもつタイプとゆるやかな変化を示すものに大別されることがわかった。前者は、核ガンマ線ラインが強く放射されるが、惑星間空間で観測される高エネルギー粒子は、きわめて少ない。 一方、後者は、反対に核ガンマ線が少なく、惑星間空間へ放出される粒子は多い。これは、磁気ループの構造と深い関係があると考えられる。前者は、コンパクトな強い磁気ループをもち、加速された粒子の大部分が、磁気ループ内にとじこめられ、光球に落下して核ガンマ線をつくるのに対し、後者は、大きく広がった弱い磁気ループ構造をもち、加速された粒子が惑星間空間へ逃げ出しやすい構造になっていると考えられる。
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