研究概要 |
6種類の波長シフターを使用し、純粋CsI結晶からの300nm紫外光の読み出し効率を調べ、その光量を比較した。6種類は、(a)Bicron社のBC408,(b)同社のBC499-54(BCF-10ファイバーの波長変換物質をポリスチレンに混ぜた物),(c)同社のBC499-55(BC499-54と同じであるが、波長変換物質濃度を減少させた物), (d)同社のBC499-56(新しいシングル・ステップの変換物質K-10を含む物), (e)クラレ社のSCSN81, (f)クラレ社のSCSN38の変換物質をアクリルに混ぜた波長シフターである。 6種類の内、(f)以外はプラスティック・シンチレーターである。また、30cm長の純粋CsI結晶をテストに使用した。測定に関しては、^<137>Cs放射線源及び高エネルギー物理学研究所の放射線ビームを使い、読み出し効率、波長シフター内での光の減衰率、速い時間成分と遅い時間成分の比の改善などを測定した。波長シフター内の減衰率は、1cm厚において約2mであった。また読み出し効率に関する限り(a)が最も高く、30cm長の小型サンプルにおいて純粋CsI結晶からの光の約30%が検出できる事がわかった。2m長の現実的なサイズにおいても20%の読み出し効率が得られた。この波長シフター読み出しによるカロリメーターをphoton vetoとして使用する場合では、波長シフター自身がある程度activeであることが望まれるが、また一方、エネルギー分解能をあげるためには、純粋CsI結晶からの光をプラスティック・シンチレーター自身からのシンチレーション光から区別する事が必要である。両者の時間特性の違いを利用し、記録されたパルス波形の分析よりそれらを識別する事を試みたが、プラスティック・シンチレーター光がCsI結晶内にtrapされ、遅い時間成分を作り出すため、容易ではないことが判明した。したがって、プラスティック・シンチレーター光をやや減少させた波長シフター、たとえば、(c)または(d)がこのような用途に最適であることがわかった。
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