研究課題/領域番号 |
05640364
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研究機関 | 高エネルギー物理学研究所 |
研究代表者 |
久野 良孝 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (30170020)
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研究分担者 |
中野 貴志 大阪大学, 理学部・物理, 助手 (80212091)
新川 孝男 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (70171064)
今里 純 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 教授 (40107686)
稲垣 隆雄 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (60044757)
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キーワード | 純粋CsI結晶 / 純粋BaF_2結晶 / 波長シフタ- / 変換効率 / 減衰長 / プラスチック・シンチレーター / シリコン・ラバー |
研究概要 |
純粋CsI結晶からの300nmのシンチレーション光に関しては、すでに何種類かのプラスティック・シンチレーターを基材にした波長変換物理(シフタ-)を用いてテストを行ない、その変換効率や光の減衰長などを測定した。30cm長の小型サンプルで約20%の効率、そして、約2mの減衰長などが得られている。荷電粒子が結晶とシフタ-の両者を貫通する場合は、純粋CsIの光と(シフタ-である)プラスティック・シンチレーターからの光とを区別しなければならないが、波形解析や、変換物質の濃度を変えたシフタ-の改良などに依って、ある程度区別できることがわかった。このように、純粋CsI結晶の波長シフタ-読みだしは、充分実際に使用でき、将来のカロリメーター測定器に有用であると思われる。 純粋BaF_2結晶のための波長シフタ-の開発は、かなり難しい点が多く、まだ充分な製作・テストの段階に及んでいない。まず、純粋BaF_2結晶からの光の波長は、その速い時間成分で220nmと、非常に短波長領域である。したがって、普通のプラスティックなどの有機物質の基材では、この光の透過率が悪くて使用できない。シリコンを使ったラバー物質であれば、220nmでの透過率を維持できるかもしれないということになった。BaF_2用の波長変換物質に関しては、BICRON株式会社で開発している素材があり、これを採用することとした。しかし、この素材をシリコン・ラバーに混ぜたところ、時間とともに、この変換物質が表面から染み出して逃げていくことが、報告された。このような開発にかなりの時間を費やしてしまい、サンプルの性能評価の段階には至っていない。また、シリコン・オイルを使用することも検討している。とりあえず、多少不完全で長時間の特性は悪くても、BaF_2用のサンプルを注文し、現在、テストを始めようとしているところである。
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