研究概要 |
平成5年度の研究では超イオン導電性の低温相の電子誘電関数を内殻d電子の影響を考慮して調べた。当初の研究目的、電子論的な超イオン導電体の研究、としてはまだ第一歩であるが、この研究を通して超イオン導電体に於いては内殻d電子の役割が重要であることが確かめられた。この研究ではイオン系のダイナミクスが考慮されておらず、超イオン導電相の出現機構を明らかにするには不十分である。次の段階としてはイオンのダイナミクスを考慮した電子論的な研究が必用である。この様な問題をセルフコンシステントに解決するのは解析的にはかなり困難であるので、今後はコンピュータシミュレーションに基づいた数値的計算も併せて行なう必用がある。 平成5年度は超イオン導電体AgI,CuBrの低温相での電子誘電関数を内殻d電子の影響を考慮した総和則に基づいて計算した。この研究では内殻d電子の誘電関数に及ぼす影響を内殻d電子の状態と結びつけて具体的に表現した。この研究は現在J.Phys.Soc.Jpnに投稿中である。
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