研究概要 |
本年度の主な成果としては,二つのものが挙げられる。一つは金原子吸着シリコン表面の短距離秩序の問題で,もう一つはやはりシリコン表面で吸着アルカリ金属原子,シリコン2量体欠陥,ステップ端などにより誘起される非対称シリコン2量体についての短距離秩序の問題である。前者については,最近提示された構造模型に基づき,最上層吸着金原子に対して格子ガス模型を設定し,モンテカルロシミュレーションをおこなった。走査トンネル顕微鏡像の解析による,吸着金原子の2体の位置相関関数の実験値との比較から,金原子のシリコン表面での拡散が大体停止する温度が400K程度として,相互作用定数を定めることが出来た。後者については,非対称シリコン2量体をイジングスピンで代表させたときの相互作用の問題として,第3隣接対までの短距離相互作用で十分なのか,非対称シリコン2量体の持つ電気的双極子相互作用の成分が無視できないのかという問題があるが,やはり.走査トンネル顕微鏡像から得られる短距離秩序の相関関数に対して,それぞれの相互作用模型でのモンテカルロシミュレーションの結果と比較して結論を導くことが出来た。
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