研究課題/領域番号 |
05640425
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
二木 治雄 琉球大学, 教養部, 助教授 (80145549)
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研究分担者 |
冨吉 昇一 愛媛大学, 工学部, 教授 (50005922)
矢ケ崎 克馬 琉球大学, 理学部, 教授 (70045037)
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キーワード | 酸化物高温超伝導体 / 反強磁性体 / 核磁気共鳴(NMR) / 核四重極共鳴(NQR) / スピン-格子緩和時間 / スピン-スピン緩和時間 |
研究概要 |
反強磁性相における酸化物高温超伝導体YBa_2Cu_3O_<7-δ>(YBCO)の低温磁気秩序を研究するために、水素をドープした粉末資料YBa_2Cu_3O_<6.1>H_<0.14>を作製し、その水素をプローブとしたプロトンNMRとCuサイトのCu NQRを行った。 1.プロトンNMRの線幅の温度依存性から、(1)水素原子はCu(1)サイト近傍にトラップされる。(2)20K以下での線幅の急激な増大によりCu(1)サイトに低温で微弱な内部磁場が生じ、低温での磁気秩序に変化が生じている。 2.Cu(1)サイトの^<63>Cu NQRから、(1)80K以下では、結晶内部に振動磁場が存在し、その揺動磁場の影響で、T_1^<-1>は40K、T_2^<-1>は20Kでそれぞれ極大を示し、20K以下でプロトンNMRの線幅の増大が生じる。(2)中性子回折の実験結果を考慮すると、揺動磁場の原因はCu(1)またはCu(2)サイトに部分的に生じたstaggeredなCu^<2+>モーメントと考えられる。 3.Cu(1)サイトのCu NQRの測定から、80K以上ではT_1の緩和機構が変化し、共鳴周波数も大きく変化する。(1)80K以上260Kまでの測定では、T_2^<-1>は260Kまで増大し続けるが、ネ-ル温度が410Kであるにもかかわらず、T_1は260K付近ですでに一定になる。(2)共鳴周波数の温度変化の原因はCu(1)のよじれ振動と考えられる。この温度領域でのT_1への寄与を検討したところ、よじれ振動によって説明できることがわかった。今後、Cu(2)モーメントによる磁気緩和の影響がどの程度あるかを検討する必要がある。また、これらの研究過程で開発改良した機器を他の実験に使用することによって、より精度良い測定が可能になった。
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