本年度は、詳細釣合の破れた反応系における揺らぎの空間相関の分子シミュレーションを行った。剛体球が多数運動している系を考え、衝突の際に一定の確率でそれぞれの分子が種類を変える。空間の各部分における各成分の粒子数濃度を求めて空間相関関数を求める。X+X【double half arrows】X+Y、X+Y【double half arrows】Y+Yの反応系について、詳細釣合の破れによって平衡状態の相関に加えて長距離相関が生まれることを確かめた。これは、流体模型による解析解と長距離におい さらに、非平衡系における揺らぎの典型例として、乱流的媒質における相対拡散の定式化を行った。ランジュヴァン方程式から出発して、二つの粒子の相対距離の二乗平均に対する非線形発展方程式を導いた。これは、以前Misguishらが繰り込み群の方法で求めたものと一致するが、さらに、安定移動運動の解析に拡張できる。初期の三乗成長則は多くの大気中の対流実験と良い一致を示した。 非平衡現象の弾性媒質への応用も試みた。表面吸着原子による応力の発生機構について、弾性体論を拡張して、一般公式を導いた。 多成分系からなる流体に対する非平衡熱力学、揺らぎの実現確率に対するフォッカー・プランク方程式の一般形を導いた。
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