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1993 年度 実績報告書

ランダム媒質中の遅い緩和の理論/計算機実験

研究課題

研究課題/領域番号 05640439
研究機関金沢大学

研究代表者

樋渡 保秋  金沢大学, 理学部, 教授 (20019491)

研究分担者 高須 昌子  金沢大学, 理学部, 助手 (50202148)
キーワード遅い緩和 / ガラス転移 / α緩和 / β緩和 / スローダイナミックス
研究概要

過冷液体の構造緩和の特徴は、局所密度の自己相関関数G(r,t)の空間についてのフーリエ変換F(k,t),更に時間についてのフーリエ変換S(k,ω)あるいは一般化された感受率X(k,ω)の虚部などに典型的に見られる。これらの振る舞いは中性子回折実験や光散乱実験などによって示されているが緩和の機構に関してはほとんど何も得られていない。本研究は過冷液体の異常緩和(αとβ緩和)の分子論的機構を探ることに焦点を当て以下に述べる2つの方法から考察を行った。
1)MD(分子動力学)シミュレーションによる考察:二成分ソフトコア模型を用いて2次元および3次元系の分子動力学シミュレーションを行い動的構造因子S(k,ω),一般化された感受率X(k,ω)を計算し、これらのω依存性と平均二乗変位の時間依存性および原子の運動の画像情報とからα緩和が原子の協調ジャンプ運動によること、またβ緩和は原子集団の協調変位運動によることなどを初めて明らかにした。
2)TDM(トラッピング拡散理論)による考察:MDシミュレーションの結果を基に、ジャンプの待ち時間分布および協調変位運動を考慮した1粒子モデルのTDMをたて、これより過冷液体の種々の動的性質を求めた。これらの結果はMDの結果をよく再現しTDM理論の有効性を示すことに成功した。同時にTDMからはMDでは得られない時間相関関数の長時間の振る舞いに関する知見が得られ、これらから過冷液体およびガラス転移のダイナミックスに関する重要な知見が得られている。このモデルからは粘性係数の温度依存性に関する経験式Vogel-Fulcher則と良く似た結果も得られている。TDMはガラス転移点近傍で観測される様々なダイナミックスの異常を統一的に解釈する有用なモデルと結論される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] J.Matsui: "Calculation of the generalized susceptibility for a highly supercooled fluid through molecular-dynamics simulation" Molecular Simulation. (1993)

  • [文献書誌] J.Habasaki: "Glass transition temperatures studied by MD simulation of some alkali metasilicates" Molecular Simulation. 10. 19-26 (1993)

  • [文献書誌] K.Uehara: "Molecular-dynamics simulations for the density autocorrelation function in a supercooled fluid state" Molecular Simulation. (1993)

  • [文献書誌] T.Odagaki: "The role of molecular dynamics simulations for the study of slow dynamics" Molecular Simulation. (1993)

  • [文献書誌] T.Odagaki: "Trapping diffusion model for glass transition and dynamics in supercooled liquids" Physica A. (1994)

  • [文献書誌] Y.Hiwatari: "Study of the α and β relaxations in a supercooled fluid via molecular-dynamics simulation" Physica A. (1994)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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