溶媒組成・広くは溶媒-網目相互作用の変化に伴うゲル系の化学エネルギーの変化と、ゲルの巨視的変形による力学的エネルギーの相互授受の効率を支配する因子を解明し、その最適化をはかるという今年度の「研究の目的」に対し下記の具体的知見を得る事ができた。 1.仕事の取り出しに寄与する(a)溶媒の圧力と(b)ゲル網目の応力の両者の分配とその空間依存に就いての統一的枠組みを構成した(Y.Rabinとの共著で出版)。 2.力学的仕事を終える状態にたいする、ゲルの幾何学的因子の役割を体積相転移を呈するゲル系に関してモデル化し、系の特徴的長さに関する相似則のクロスオーバーの概念を見いだした(黒木義樹との共著で出版および、投稿中) 3.化学・力学エネルギーの連続的変換に必要な「サイクル」をもつ関連系としてタンパク質分子モーターをしらべ、空間的に分布する変換要素間の協力・阻害の機構を解明した(太和田勝久との共著で投稿中)。 4.空間分布する変換要素群に対して境界条件が本質的に重要である事を見いだした(森直樹・太和田勝久・豊島陽子との共著で投稿中および投稿準備中)。 5.他に上記の一部を含む、今までの研究についての欧文総説を依頼され執筆した(出版予定)。
|