研究概要 |
種々の活性発現系の受容体としての超分子の作成と評価:マイクロエマルジョンを基本にしたゼラチン,アルギン酸,ポリアクリルアミド等のサブミクロンゲルについて,温度,濃度,pH,添加イオン強度等の効果を静的・動的光散乱及び過渡的電気複屈折を用いて調べ,活性発現系と超分子の最適な組み合わせを検討した。更に,ミクロバイオリアクターとして利用できる可能性のある弾性線維蛋白質エラスチンのコアセルベート液滴についても同様の検討を加えた。 活性機構を備えた非平衡要素系の創製:1mum〜1mmのサイズのアルギン酸ゲルとポリアクリルアミドゲルに,ベルーゾフ・ジャボチンシスキー反応(BZ反応)に代表される化学振動反応を組み込む為の条件を検討した。反応パターンの伝搬速度は,ゲルのサイズの減少と共に大きくなることがわかった。又,化学組成,ゲルのサイズ,ゲル相互の空間的な配置に依存して反応パターンの相互引き込み,相互同期現象やその他興味ある現象が観測されたが,まだ再現性に乏しく更なる検討を要する。更に,反応触媒を直径100ミクロン程度の陽イオン交換樹脂に組み込むことにより,BZ反応を基本とした非平衡振動子系を創製した。陽イオン交換樹脂は超分子ではないが、BZ反応にとって極めて安定な反応場を提供する。これにより、2粒子間や3粒子間更には多粒子間の引き込みや同期など,結合振動子系の相互作用を定量的に調べることが可能になった。
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