研究概要 |
本年度の研究成果を以下に記す。 (1)長周期実体波を解析するために、長周期実体波及び表面波の波形を計算するソフトウェアを開発した。 (2)上記(1)の計算精度の向上を図り、以下の改善を行った。(i)質量行列、ポテンシャルエネルギー行列の定義を変更することにより、離散化に伴う計算誤差を飛躍的に減らすことに成功した。(ii)地震源に働く力を表現する際、半径方向の不連続が生じる場合がある。これをスプライン関数で表現することにより生じる誤差を、力の表現を変更することにより飛躍的に減らした。この(i),(ii)の改善は計算精度の向上であると同時に、同じ計算精度で計算する場合には、必要な計算時間を飛躍的に減らすことが出来る。我々は、上記(1),(2)の研究成果をGeophysical Research Letters誌に発表した。 (3)1992年のLanders地震では、震源付近で理論的に予想されるより約10倍も大きな振幅の表面波が観測された。この振幅異常の原因の考察するために、我々は昨年度に開発した偏微分係数の新しい計算アルゴリズムのソフトウェアを応用し、観測波形の解析を行った。解析結果から、我々は震源近傍で起こる振幅異常の理論を導きだし、数値実験によりこれを確認した。我々はこの結果をBulletin of Seismological Society of America誌に発表した。
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