以下に研究計画調書の目的に書かれた項目にしたがって、本年度の実績を報告する。 1.塑性変形、破壊を考慮したモデルの確立 接触する2つの面の真実接触部において、弾性変形を仮定したモデルにより、接触面の挙動を推定する試みがこれまでなされてきたが、本研究では、塑性変形をも取り込んだモデルを構築した。このモデルによるシミュレーションをおこなったところ、岩石実験において普遍性にみられるヒステリシスやオフセットが明瞭に現れた。これらの現象は従来、接触面における微小すべりが原因と考えられてきたが、塑性変形を考慮することで説明可能である。この結果は地震学会、AGUの大会で発表され、現在論文を投稿中である。 時間の寄与を考慮したモデルの確立 摩擦力が時間、あるいはすべり速度に依存するという事実は良く知られているが、そのミクロなプロセスは未解明である。このプロセスを詳細に調べる目的をもって、〓性材料を対象としたインデンテーションテストを行なった。この結果、アスペリティの変形速度はアスペリティの衝突速度に大きく依存するという新たな実験結果が得られた。この結果については、地震学会で発表され、現在論文に取りまとめている。 波動透過実験 接触面を通過する波動を観察し、接触面は透過波動にたいし、粘弾性的な性質を持つことが判明した。この結果についてはすで出版されている。 以上のように、計画した研究内容はおおむね順調に推移している。
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