研究概要 |
新しい古地磁気強度測定法が本研究者により実験的に開発されていることが本研究の大きな特色の一つであるが、この新測定法に関する論文は現在印刷中である(Tsunakawa&Show,1994,Geophys.J.Int.). 実際の古地磁気強度測定に関しては,交流消磁・非履歴性残留磁化(ARM)獲得の実験的技術の向上および理論的検討をこれまでにおこなった.その結果, 1.交流消磁およびARM付加を120mTの交流磁場下で安定しておこなえるようになった.さらに改良して,本年度中に170mT近くまで使えるようになろう.理論的検討から,この程度の大きさの交流磁場で十分と判断する.また,交流磁場減衰率が消磁・ARM獲得に影響しうるので,ピークフィールド値によらず一定にするようにした. 2.単磁区磁性粒子理論に基づき,熱残留磁化(TRM)とARMの関係を交流消磁・熱消磁という実験的観点から検討した.結果として、従来の非履歴性残留磁化(ARM)獲得機構に関する議論は不十分であったと考える.その問題は,近似計算の間違い,磁場・磁化容易軸角度依存の不明瞭さにある.このことは,熱残留磁化(TRM)の場合にもある程度あてはまる.したがって,あらたなARM・TRM獲得機構モデルを岩石磁気学的に考案する必要があろう. 3.南半球ホットスポット起源のアルカリ玄武岩について古地磁気強度を試験的に測定したが、加熱による熱変質が予想より大きいことが判明した。加熱時間の短縮を5分間程度におさめる工夫を考慮中である。
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