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1994 年度 実績報告書

複雑地形上の熱と水蒸気の鉛直・水平輸送の研究

研究課題

研究課題/領域番号 05640473
研究機関筑波大学

研究代表者

木村 富士男  筑波大学, 地球科学系, 教授 (10225055)

キーワード大気境界層 / 混合層 / 複雑地形 / 斜面上昇風 / 熱輸送 / 水蒸気輸送 / 線型論 / 数値モデル
研究概要

起伏のある地形での地表面と大気の間での熱、水蒸気、運動量の交換過程は今までほとんど未解明であった。陸面と大気との相互作用は地域規模の気象の解明だけでなく、全地球規模の気候変動のメカニズムの解明においても重要な課題である。この研究の目的は比較的単純な形の谷や盆地において、熱的に引き起こされる局地循環風と、乱流拡散により熱と水蒸気が水平方向や鉛直方向に輸送されるメカニズムを、野外観測と数値シミュレーションの両面から明らかにすることにある。
長野県の伊那谷はわが国ではもっとの深い谷である。平成5年度にはこの谷のなかで晴天日においてゾンデによる気温と湿度の鉛直分布の観測データを解析し、伊那谷のように深い谷の中央部では、地面からの顕熱が乱流によて伝わる混合層と局地循環により熱が伝搬される層(準混合層と命名)が明確に分離できることがわかった。平成6年度はこの層を乱流のパラメタリゼーションを含む2次元の数値モデルによって再現し、準混合層の形成には山の高さが平地上の混合層高度を上回っていることが必要条件であることが明確になった。
また起伏による熱的局地循環の線型解析解をもとめ、局地循環の強度と地形の水平規模の関係を解析的に明らかにすることができた。この結果、斜面上昇風は地形の水平規模が100km程度のときに最も強調されることが分かった。また水平規模が小さくなるほど、谷の中野温位分布が水平方向に一様になる傾向が強まることが示された。この性質を利用すると標高差が1000m以上あり水平距離が概ね20km以内の2点で気圧の日変化を計測すると複雑地形上の広域平均の顕熱フラックスが算定できる。伊那谷のデータで2台の気圧計による下層大気の加熱率とゾンデデータを比較し、良好な結果を得た。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Kimura,F and T.Kunagata: "Thermally induced wind passing from plain to basin over a mountain range." Jurnal of Applied Meteorology. 32. 1538-1547 (1993)

  • [文献書誌] Kimura,F and Y.Shimizu: "Estimation of ensible and latent heat fluxes from soil surface temperature using a linear air-land heat transfer model" Jurnal of Applied Meteorology. 33. 477-489 (1994)

  • [文献書誌] 木村富士男: "熱的局地循環" 天気. 41. 5-12 (1994)

  • [文献書誌] 近藤裕昭・木村富士男ほか13名: "局地循環モデルの相互比較" 天気. 41. 751-760 (1994)

  • [文献書誌] Kimura,F and T.Kuwagata: "Horizontal heat fluxes over complex terrain computed using a simple mixed-layer model and a numerical model" Jurnal of Applied Meteorology. 34. 549-558 (1995)

  • [文献書誌] 木村富士男: "局地風による水蒸気の水平輸送" 天気. 41. 313-320 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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