地球自転速度(あるいはLOD)変動とそれに及ぼす帯状風による大気角運動量(AAM)変動データに検出された約7カ月周期の振動(QSO)の起源とその構造を帯状風AAMの緯度・高度・時間断面データに基づいて調べ、以下の結果を得た。 (1)QSOは赤道近傍にのみ見られ、特に、0°から15°Sまでの緯度帯で卓越する。 (2)QSOは赤道対流圏700hPaから100hPaの全層で卓越し、位相は高度に依存しない。 (3)QSOの角運動量に換算された振幅は赤道成層圏QBOのそれの約半分の大きさを持つが、風速に換算された振幅は2m/sec程度である。 (4)QSOはエルニーニョの出現時に位相変化を伴うか消滅すると言う間欠的な性質を持つ。 (5)QSOの間欠性はLODとAAMの双方のウエイブレット変換で確認されている。 (6)QSOは季節内変動と年周変化との間に見られるいくつかの間欠的周期変動の中で最も顕著な振動である。 (7)QSOの周期は赤道太平洋における海洋の二つの赤道波で生じる海洋の調整時間(約14カ月)に依存している可能性が高い。 (8)QSOは赤道太平洋の大気海洋結合変動に帯状風が組織的に応答して生じた可能性が大きい。
|