研究概要 |
大型計算機で開発した各種データ処理用プログラムのワークステーションへの移植,磁気圏空洞-磁力線結合振動の計算機シミュレーションコードの開発といった研究計画は順調に達成されつつある.プログラムの移植により大量のデータ処理が可能となり,大型機では少数の事例に留まっていた減衰正弦波のパラメータ推定が,飛躍的に多くの事例に対して行えるようになった.なお,プログラムの移植に当たって,FORTRANをそのまま採用した.理由は,一部のプログラムを市販のもので置き換える必要があり,この部分を含めた完全なC言語化の達成が困難であると思われるからである.C言語からFORTRANで記述されたモジュールを呼び出すことは容易であるので,FORTRANの採用はそれほど制限的なものではない. 新たに得られた知見は,以下の通りである. 1.区分的3次多項式によるデータ平滑化が,湾型変化とPi2の分離のみならず,SCとP_<SC>の分離に対しても有効であることを確認した. 2.修正Pisarenko法による解析の結果,P_<SC>についてに,Pi2と同様に汎世界的な離散的周波数構造があることが分かった. 3.低緯度赤道域ULF波動には,磁気圈ないしプラズマ圏の構造のみから決まる経度依存性のない離散的な特性周波数がある.これに対して,減衰定数や振幅・位相は局所性があり,波源にも依存する. 4.磁力線共鳴周波数は,波動コンダクタンスが実効電離層Pedersen伝導度に近いかそれ以下であるとき,電離層HaII伝導度により強く支配される.
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