研究概要 |
昨年度に引き続き昭和基地及びアイスランド,チョルネスのイメージングリオメータデータを光磁気ディスク上に編集コピーし,サマリ-プロットを作成した。これにより,1993年2月から1995年1月まで,2年間にわたる南北半球共役点でのイメージングリオメータデータベースが整った。 昨年度は南北半球共役点でのオーロラ吸収イメージの相対位置から,地磁気共役点の位置を観測データから同定することに成功し,その季節変化が,磁気圏モデルと磁力線トレース計算に基づく共役点位置の季節変化とよく一致することが確かめられた。 本年度はその物理的意味の検討を行い,この特性は極域の広い範囲にわたり一般的に成り立つことを確認した。すなわち(1)共役点の緯度方向の季節変化は地磁気軸と黄道面との成す角の季節変化に支配される。太陽風は夏半球の磁力線を押し込むため,磁力線の付け根は昼側においては高緯度にずれ,夜側では低緯度にずれる。一方,太陽風の圧力が相対的に小さい冬半球では磁力線が太陽側に引き寄せられる結果,磁力線の付け根は昼側においては低緯度にずれ,夜側では高緯度にずれる。(2)共役点の経度方向の季節変化は高緯度側に付け根を持つ磁力線ほど,太陽風により遠方へ引き伸ばされる性質を反映している。すなわち磁気圏尾部の一点から出発する磁力線の両半球での付け根の地方時を比較すると,付け根が高緯度に位置する半球では(磁力線が長く伸びるため)付け根の地方時が真昼に近づく。このため夏半球のPrenoonでは東側に,Postnoonでは西側にずれる。 (1)と(2)の特性を併せると,北半球に投影された共役点は反時計回りの日周運動を行い,夏季(7月)は真昼に最も高緯度に,冬季(1月)は深夜に最も高緯度に位置することになる。他の地磁気共役点(Great Whale River,Byrd基地)でのリオメータ観測により報告されている共役点移動の結果も上記の特性で説明できることがわかった。
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