研究概要 |
本年度に海上保安庁水路部から入手した測量記録は以下の5海域であり,測線距離はあわせて21950海里(約40600km)である。 「鹿島灘南部」,「常磐沖南部」,「常磐沖北部」,「三陸沖南部」,「三陸沖北部」これらに前年度までに入手した記録を合わせると総延長距離は約120000kmを越える。 各記録の整理は進行中であるが、それらのうち房総半島以西の記録については整理を完了し,解析中である。潮岬深海チャネルについての地形・地質学的考察の一部はすでに公表を終えた。紀伊半島沖合には下部大陸斜面上に位置する深海扇状地を見いだしており,潮岬深海チャネルとの関連,熊野灘からの堆積物供給の可能性および大陸斜面形成の過程について考察中である。 また近年,高精度の海底地形図が刊行された相模湾〜房総海底谷周辺については,測量記録に認められる細かい地形・地質の変化を地形図上の微地形とよく反応させられるため詳細な検討が可能であり,第一段階として,詳細な谷系図を作成し終えた。さらに,個々の海底谷の特性をとらえるのみではなく,海底谷の地域的な共通性等を把握するために,数量的な地形解析を進めている。まだ中途の段階ではあるが、大陸斜面域での海底谷の谷底傾斜には地域的な共通性が認められ,それは地域の地質構造運動を反映しているものと考えられる。 次年度は北海道南岸沖の3海域の測量記録を入手すると共に,解析を東北地方〜北海道沖へと展開していく。
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