研究課題/領域番号 |
05640518
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
層位・古生物学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大塚 裕之 鹿児島大学, 理学部, 教授 (50041223)
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研究分担者 |
大木 公彦 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (90041235)
西中川 駿 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70041639)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 南西諸島 / 島嶼哺乳動物化石 / 第四紀更新世 / 隔離 / 遺存種 / シカ類化石 / 洞窟堆積物 / 裂罅堆積物 |
研究概要 |
本研究では次のような成果を得た。 1.南西諸島の地史と島嶼型哺乳動物化石相の起源の解明に重要な意味をもつ形之山化石群を産する種子島の更新世増田層の年代測定と古地磁気層序学的研究を実施した。その結果、同層が古地磁気層序学的に01duvai事件以降のMatuyama逆磁極期からBrunhes正磁極期の前半部に相当し、さらに同諸島南部に発達する更新統琉球層群と同時代の推積物であることが判明した。 2.増田層産カエル化石は南西諸島、とりわけトカラ海峡の形成史の解明に重要な意味をもつ。この化石と現生種との比較研究の結果、同化石はトカラ海峡以南のみに分布するイシカワガエルであることが明かとなり、さらに更新世前期(約130万年前)のトカラ海峡の陸化と、奄美諸島から大隅諸島への動物群の渡来を裏付ける最初の証拠を提示することとなった。 3.宮古島の洞窟堆積物から1939年に発見された旧象の臼歯化石については、その産出が南西諸島の地史や動物相の解明に重要であるにもかわかわらず、この標本の分類学的位置付けは不明確なまま残されてきた。今回、この標本の所在をつきとめ、古生物学的検討を行った。その結果、このゾウはゾウ科マム-サス属の一種で、北東アジアの下部更新統に産するムカシマンモスの一種であることが明かとなり、当時、これらの地域と宮古諸島の陸繋を証明するものとなった。 4.南西諸島の各地から多産するシカ類化石のうち、リュウキュウジカ、リュウキュウムカシキョンの古生物学的研究の結果、これらには、形態学的にいくつかタイプがあり、それぞれの矮小化の程度に差があることこと、また、これらが何回かの陸繋期にそれぞれ特有なカメ類やイノシシ類を伴って渡来したことが推定出来た。 5.リュウキュウイノシシの化石と現生標本についての他の諸種との比較研究の結果、中琉球に産する同イノシシは大陸棚産の中期更新世の種とは異なり、ニホンイノシシが最終氷期以前に渡来し、その後隔離によって亜種化したものであることを推測できた。また八重山諸島のものは沖縄諸島のものに比べて亜種化していなく、更新世後期に大陸棚地域から渡来した種の遺存種の可能性があることがわかった。 6.哺乳動物化石の産出層準、種構成、亜種化の程度から、南西諸島と大陸との陸繋は第四紀更新世に3回起こったと推定出来た。すなわち、第I期の前期後半、第II期の中期後半および第III期の後期後半で、第I期は南西諸島全域が繋がった時期である。
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