研究概要 |
中新世北見火山岩類の野外調査ならびに試料採集は、北の枝幸より北見地域の角閃石含有安山岩について行われた。予定通り、角閃石含有安山岩を採集できた。さらに南の豊頃丘陵・歴舟川周辺のマフィック岩類は、北見火山帯の南の延長、と予想した地域であるが、露頭で観察する限り、肉眼的には玄武岩で、北部の角閃石含有安山岩の延長とするのは無理との印象であった。 研究室で、プレパラップを用いて、これらの岩石の薄片を作成し、岩石の変質の度合いの調査と、角閃石斑晶が含まれている岩石の選別を行った。比較的新鮮な岩石7つを選び出し、全岩分析を行った。その結果を都城図表にプロットしたところ、予想通りカルクアルカリ岩系の範囲に落ちた。中新世北見火山岩類は、全体としてはカルクアルカリ岩系の活動であると考えられる。 斑晶角閃石について、マイクロプローブにより化学組成を決定した。6配位のアルミニウムの値は約0.4で、火山岩から報告されている値の中では高いが、瀬戸内火山岩類よりは低い。Fe/Mg+Feは、ほぼ0.4で、母岩よりはFeに乏しい。弗素の量は1,100〜1,300ppmの範囲であった。これらの結果からは、瀬戸内火山岩類の角閃石と比較して、とくに際立った相違はなかった。 金属鉱業事業団から、今年度の調査試料として、北見火山帯最南端の勢多地区の鉱染帯の同位体年代1.7Ma、δ^<34>S=-3.2〓という測定値が明らかにされた。本研究者が予想した通りであった。 来年度には再度北見地域を調査し、主として日高帯の角閃石含有深成岩類を採集し、火山岩類の中の角閃石との比較を行う予定である。
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