1)ダイヤモンド等の鉱物試料中の包有気体を抽出するためのラインの作成 このラインには10^<-6>Torr以上の真空度を実現するため、ターボ分子ポンプを用いた。発生した混合ガスから酸素、窒素、二酸化炭素を分けることができるよう精製ラインを直結し、かつそれらのガスの分圧を測ることができるようにキャパシタンスマノメータを設置した。ラインはガラスとステンレスを用いて作った。ブランクを抑えるために、できる限り小さな容量のダイヤモンド破砕装置を設計し、組み立てた。ダイヤモンドとの接触部分が損傷しないように、接触部には炭化タングステンを用いた。 2)作成したラインについての評価と検討 基礎的な実験として、このラインのブランクをいろいろな条件で測定した。ブランクは上記ラインの気体分離ラインで同様に分離し、キャパシタンスマノメータで分圧として測定した。さらに四重極質量分析法により定性分析も行った。最終的にブランク値を十分下げることができた。この装置はこれから種々の鉱物の包有ガスの分析装置として有用となるであろう。 3)キュービックダイヤモンド中の包有ガス分析および同位体分析 ザイール産のさいころ状ダイヤモンドはその中に二酸化炭素などのガスを高圧で保存してある。このダイヤモンドに包有されているガスを分析し、さらにその中の二酸化炭素の同位体比を分析するのが、本研究の課題である。いくつかの十分洗浄したダイヤモンドを実際に破砕器に設置し、ハンマーにより真空中で破砕した。抽出ガスの水と二酸化炭素の存在比は試料によって変動することが分かった。また、ザイール産のダイヤモンドには石油などの炭素とほぼ同じ同位体比を持つ二酸化炭素が存在することが分かった。 この成果は、マントル中の炭素の起源に大きな影響を与えるであろう。
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