包接水和物の安定性について、従来用いられてきたudWP理論を拡張してホストネットワークとゲスト分子のカップリングを取り入れた自由エネルギー評価の方法を提案し、その有用性を示すために、希ガスや炭化水素包接水和物の解離圧を理論的に求めより実験との一致が良くなることが確められた。この新しい自由エネルギーの計算方法はゲスト分子を収容する空調とゲスト分子の大きさが近いときに有効であり、大きな空調と小さな空調が同一種のゲスト分子によって占有されるときには、従来の方法と並用すれば良いことが、分子運動のスペクトル解析・有効ポテンシャル面の計算から示された。これにより、従来経験的に決めてきた必要なパラメーターが、分子間相互作用のみから予測されるようになった。また、本研究で行なわれた方法は、ゲストと格子のカップリングを取り入れているために、広い温度範囲で、適当な分配関数の選択のもとに有効であることが明らかとなった。
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