研究課題
本研究では超短パルス光を用いて電子スピン偏極を生成させ、高い時間分解能で直接観測する新しい手法を開発することを試みた。実験に用いた試料は基板(001)-Cd_<0.95>Zn_<0.05>Te上にCd_<0.90>Mn_<0.10>Teをバリヤー層、CdTeを井戸層とした多重量子井戸構造導体で、パルス発振Nd:YAGレーザーによる蒸発エピタキシー(PLEE)法で作成されている。ポンプ・プローブ法による過渡反射測定の結果、下記のような量子ビートが得られた。周波数はほぼ8テラヘルツにおよび、励起光のパルスバンド幅に匹敵する。これは量子井戸中に閉じこめられたポラリトンのえねるぎーが量子化されてそれらの2つのエネルギー状態間の量子ビートであることが判明した。上記の実験結果から超短パルスによる瞬間励起ではきわめて高い周波数(テラヘルツ)の量子ビート信号が得られることがわかった。しかし過渡反射測定では本試料のように必ずしも期待した電子スピンに関する情報は得られず、ポラリトンによる効果が顕著に現われることが判明した。本研究は現在透過測定が可能な基板材料を用いて試料の作成を急いでおり、研究期間終了後も引き続き行う。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)