研究概要 |
本科学研究費の目的は、特異な構造および反応をもつ有機化合物のX線構造解析とともに、その分子の生成物や反応遷移状態の構造を理論計算によって予測することを目的としている。これらの計算は分子力学(MM3)や分子動力学(MD)、および半経験的分子軌道法(MOPAC93)などの方法を適用する。プログラム自体は体系化しており、安価に購入することができる。平成5年度はコンピュータ(ワークステーション)を主たる購入品目とし、これらのソフトを導入した。継続して、以下の化合物に対して予測計算を行った。 1)トリクロロスタニルケトンとトリクロロエチルスズ付加体の異常構造分子 2)シンプルエノエ-ト分子のシス/トランスの安定性に関する解析 3)α,β,χ,φ-不飽和ジオイックアシドエステルのコンフォーメーション解析 4)カルボニル化合物に対する付加反応の機構解明 一応計算結果は実験結果を合理的に説明できることが判明した。申請者は分子計算化学についてはまだ初心者なので、専門家に計算方法や結果の正当性を評価してもらうために、本年度は3箇所(九大、北大、阪大)の諸先生と相談する機械をもった。その旅費が平成6年度の主な経費である。 1)、2)に関しては、論文に報告できる結果が得られて報告済みである。 3)に関しては研究の途中であり、4)に関してはほぼ満足すべき結果なので現在、報告論文をまとめている。
|