研究概要 |
鎖状ポリエーテル基を有する非イオン性界面活性剤(POE化合物)と金属イオンとの錯形成平衡および溶液内構造を決定した.測定法手段としてはこれまでに確立した分配,電位差測定法に加え、分光学的手段および分子軌道計算を用いるることにより、配位部位におけるより詳細な相互作用についても検討した。 1。エーテル単位の数が4〜40のPOE化合物による、アルカリ金属及びアルカリ土類の種々の溶媒への分配平衡を調べた。抽出曲線の解析より、POE化合物-金属陽イオン錯体の分配係数、錯形成定数およびイオン対生成定数の各平衡定数を求めた.これらの結果は金属イオンにポリエーテル単位が螺旋状に取りまいている構造を示唆している。エーテル単位数の少ない錯体においては空位のアキシャル位からの対イオンの接近が可能である。 2。電気伝導度測定法によりイオンの極限伝導度および解離定数が得られた。これらの知見より金属-POE錯体のイオン間相ご作用の強さ、イオンの見かけの体積,構造,形状を推定した。特に、本系においては溶媒中に存在する水が構造に大きな影響を与える事が明らかとなった。 3。POE化合物およびその陽イオン錯体の^1H、^<13>CNMR測定を行い、シグナルの帰属を行った。各エーテル基の構造・配位についての直接的情報が得られた。可視、紫外の吸収スペクトルの解析より、各イオン対におけるピクリン酸イオンの遷移エネルギーを求めた。分子軌道計算との比較検討を行っている。
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