研究概要 |
1.前年度イミダゾール環の2,4,5位に嵩高い置換基が導入されたイミダゾール誘導体と塩化コバルトとを摩砕すると周囲の湿度の変化により色を変化させる物質が得られ、その色調と変色域は塩化コバルトのそれとは異なることを報告したが今年度はIRおよびDSCの測定によりその生成物がイミダゾール誘導体と塩化コバルトとの1:1錯体である事が明らかとなった。 2.2,4,5-ビス(4-メトキシフェニル)-2-(4-ニトロフェニル)-1H-イミダゾールは暗赤色、橙黄色、朱色の三種A、B、Cの多形結晶を生成するがこれらの多形結晶のクロロホルム溶液中で測定したNMRスペクトルは著しく異なるパターンを示すことが見出された。クロロホルム溶液中で濃度を変化させてIRスぺクトルを測定した結果、Aは二量体を形成し、さらに分子間CT錯体も形成していること、Bは単量体であり錯体は形成していない事が明らかとなった。Cは複雑であり結論に至っていない。このようなAとBの溶液中での構造の違いは包接体結晶の生成の難易にも関係している事が明らかとなった。 3.DSCとIRの測定の結果からTCNQとP-フェニレンジ-マロノニトリルとの固相反応生成物は1:2の錯体を形成していることが明らかとなった。この錯体は湿った空気、金属塩、種々の有機物と接触すると青、緑、橙色等に速やかに着色する。ESR等の測定の結果から着色はTCNQアニオンラジカル、またはその金属塩の生成によることが明らかとなった。
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