1 亜鉛粉末のヨウ化アリールへの酸化的挿入が超音波照射により著しく加速される事を見いだした.特に、オルト位に電子吸引基を持つヨウ化アリールは高い反応性を示し、極性溶媒(DMF、TMU、NMP等)中、低温(30℃)で挿入反応が進行し、エステル、ニトリル、アミド、クロロ、トリフルオロメチル等の反応性グループをオルト位に持つアリール亜鉛化合物が、初めて、収率よく、簡便に合成出来た. 2 超音波法で得られたオルト位に求電子グループを持つアリール亜鉛化合物の有機合成への応用をトランスメタル化の観点から検討した. (1)パラジウムで接触される炭素-炭素連結反応に、このアリール亜鉛化合物が適用出来る事を、アリールハライドとのクロスカップリングで明かにした.本法により、求電子グループを両ベンゼン環に有する非対称多置換ビフェニル類の選択的合成が初めて可能になった. (2)ジルコニウム、クロム錯体へのトランスメタル化により、アリール亜鉛化合物とアルデヒド、ニトリル等求電子性試薬との間の炭素-炭素連結が可能になる事を見いだした.超音波法で得られたアリール亜鉛化合物について、現在検討している.
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