研究概要 |
本研究はアフィニティー相互作用をキャピラリー内で展開させることにより電気泳動法の高分解能化をはかろうとするものであり,この目的を達成するための前準備と基礎的事項の検討のために,平成5年度は電気泳動装置のための電気化学的検出器について検討するとともに,アフィニティー相互作用としてタンパクとその配位子,あるいは核酸間の相互作用について電気化学的側面から検討を行った。またキャピラリー壁上に形成させた陽イオン界面活性剤のヘミミセルを利用した有機アニオンの電気泳動分離を検討した。その概要は,(1)電気化学検出器を有するキャピラリー電気泳動装置の開発;錯形成反応による移動度制御に基づく金属イオン等の精密分離の達成のため,電気化学的な検出器を有する装置の開発を行った。UVや蛍光検出器を用いる従来の装置では,用いる配位子にかなりの制約を受けるが,この装置により配位子の選択が容易となり,理想的な泳動系のデザインが可能となる。(2)アビジン-ビオチン相互作用の電気化学的検討;卵白中のタンパクであるアビジンとビオチンとの相互作用は生体タンパクと配位子との結合の中で最も強いものの一つである。その相互作用を電気化学的に追跡するために,電気化学的に活性な部位を持つビオチン誘導体を用い,その電気化学検出法について検討し,アッセイ法開発の可能性を示すことができた。(3)核酸間相互作用を用いるアンペロメトリックセンサーの開発;アルキル鎖を有するシトシンとGMPとの核酸間相互作用(ベースペアリング)効果を用い,電極活性なマーカーイオンの膜透過性を制御することによって,GMPを選択的に検出するアンペロメトリックセンサーを開発することができた。(4)陽イオン界面活性剤のヘミミセルによる移動度制御;電気浸透流は泳動溶液中の陽イオン界面活性剤の濃度変化とともに電気浸透流の逆転も含む4つの段階的な変化を示すことが明らかとなった。このうち第2段目は界面活性剤がキャピラリー壁上にヘミミセルを形成する領域であり,試料の移動度はこのヘミミセルとの相互作用に大きく影響を受けることが分かった。この効果を利用して有機アニオンの分離を達成することができた。
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