味覚や匂覚に代表される細胞機能を模倣したセンサーは、多くの化学物質を同時に計測し、総合的な情報として認識できなければならない。このような機能をもったインテリジェントセンサーを構築するには、個々のセンサーの微小化と高感度化、更にそれらの集積化を必要とする。 本研究では、微小電極の構築法として新たにゾル-ゲル法による酵素包括ガラス簿膜を形成させる方法について検討した。その結果、白金コイルをオルトケイ酸メチル-酵素溶液に浸すことで、安定な酵素ガラス簿膜を形成させることができた。このような方法で、L-グルタミン酸センサー、イノシン酸センサー、グアニル酸センサー、グルコースセンサー、L-乳酸センサーを開発し、これらのセンサーを集積化した味覚成分管理センサーデバイズの開発に発展させた。又、センサーの高感度化には、2種類の酵素(1つの酵素の生成物が他の酵素の基質になる)を同時固定化したセンサーを開発し、基質リサイクリングに基づく高感度センサーを開発した。この増幅型センサーは通常の酵素センサーに比べ、百〜千倍の感度を有している。更に、魚介類や食肉の鮮度の指標となる種々の核酸塩基成分、アミノ類、ポリアミン類を同時に計測できるインテリジェントセンサーデバイズの研究に、本研究で開発した手法を応用し、当初の計画に沿ったバイオセンサーを構築できた。 更に、本法を他のインテリジェントバイオセンサーの開発に展開し、コンピューターとのインターフェイスに関する検討を行うと共に、種々のインテリジェントバイオセンサーの開発を行う予定である。
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