研究概要 |
本研究は同時正逆抽出法を確立すること,更にその応用例を示すことが目的である。抽出側のフラスコでの選択性と逆抽出側での選択性を組み合わせることにより,多様な分離法が可能となる。そのためには選択的抽出剤と優れた逆抽出剤の選定が重要になる。本研究ではピリジルアゾナフトール(PAN)を抽出剤に硝酸を逆抽出剤とすることにより鉄,コバルト,ニッケルの相互分離が可能となった。また低抽出性化合物の移送,例えばアルカリ溶液中からのガリウムの回収に重要な役割を担う逆抽出の速度定数を求め,最適逆抽出剤を明らかにした。本法の特長は平衡定数の差のみを利用するのではなく,錯体生成速度の差を利用することにある。更に速度差を有効利用するためにテフロン相分離器を利用する連続抽出装置の開発を試み,低抽出率のバナジウムを高回収率で回収することに成功した。
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