研究概要 |
本研究の目的は、実験圃場に植物を孤立個体及び群落状態で生育させ、光合成のsource-sinkのバランスを変化させた場合にも、これまでに我々がsource-sinkモデル植物において明らかにしているsource-sink調節機構(Sawda et al.1986,1987,1989,1990,1992)が同様に機能しているかを検証することである。 その為に、孤立個体及び群落状態で生育させた両植物について、物質生産的要素(生産構造、葉面積指数、群落内相対照度、非光合成器官重/光合成器官重比、葉重/葉面積比、果実生産量、光合成速度、蒸散速度等)、光合成炭酸固定からsucrose合成までの中間代謝産物(特にsucrose,RuBP,全リン酸、リン酸エステル量)およびRuBPcase活性、加えて、微環境要因(光量、気温、葉温、湿度、地温、土壌含水量、風速等)も生育段階に応じて測定することにした。 これらの各要素間の動的関係を解析し、孤立個体及び群落状態での植物の物質生産過程におけるsource-sink能の関係について検討する。 ダイズ(Glycine max Mer.cv.Wasesuzunari)種子を化学肥料(N:P:K,8:8:8)と石灰をそれぞれ20kg/300m^2に元肥した弘前大学の農学部圃場に播種した。播種密度は低密度(孤立個体)では1.56plants/m^2,高密度区(群落個体)では20plants/m^2であった。各生育段階において、除草、土寄せ、追肥そして病虫害防除のための薬剤散布を適時に行なった。 実験は平成5年8月25,26,30日および9月4,12日に行なった。しかしながら、本年度の東北地方、特に北東北地方の夏期の天候は極めて不順であり、実験材料の植物の生長は極めて悪かった。実験を行なった5日間の天候も実験に充分に適しているとはいえない状態であった。現在、これら5日間に集めたデータの解析及び資料の分析を行なっている段階である。
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