研究課題/領域番号 |
05640706
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢原 徹一 東京大学, 教養学部, 教授 (90158048)
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研究分担者 |
嶋田 正和 東京大学, 教養学部, 助教授 (40178950)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 感度分析 / 生存と繁殖のスケジュール / 推移行列 / 再生産曲線 / 密度依存性 / Callosobruchus chinensis / 生活史の進化 |
研究概要 |
寄主植物間の移動分散と貯蔵豆への定着を繰り返す生活史を持つアズキゾウムシを対象に、その繁殖と生存のスケジュールがどのように進化するかを、実験による分析とモデルによる感度分析で研究した。実験材料としては、アズキ畑から採集したばかりの野外系統と実験室で50年以上も高密度で維持されてきた室内系統を用いた。野外集団は密度に依存しない移動分散期が長く、密度依存的死亡率はほとんどかかっていないと思われる。 羽化時の体サイズにおいては、室内系統の方が大きかった。繁殖と生存のスケジュールを比較したところ、無給餌条件下では室内系統の方が羽化直後の日毎の産卵数が有意に多く、かつ寿命も長かった。しかし、給餌条件下では結果は逆転し、野外系統の方が顕著に長生きし、成虫期の中半での産卵数が有意に多かった。これら繁殖と生存のスケジュールをもとに、現在、推移行列の固有値(密度に依存しない適応度)の感度分析を進めている。 また、密度に依存する過程においては、どのパラメタが適応度に効くかを、平衡集団サイズの感度分析により解析した。豆の外側の産卵過程と豆の内側の幼虫発育に分けて再生産曲線を差分ロジスティック式でモデル化し、そのパラメタ値を室内系統から野外系統の値に置き換えて感度分析を行なった。その結果、孵化卵生産最大数(孵化卵生産曲線のピーク値)に対して、平衡集団サイズは最も感度が高いことがわかった。孵化卵生産最大数の向上をもたらす個体形質の違いとして、室内系統はあまり動き回らないため、成虫密度が高まっても卵の孵化率はさほどに低下しないという、定着期に適応した特性が解明できた。
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