研究概要 |
本研究は,(1)自然湖沼である仁科三湖(青木湖,中網湖,木崎湖)において、環境を異にする湖岸に定点を設定し,定期的にサンプリングを行い,出現するミジンコ類の種ごとの生態を明らかにする,(2)日本列島の広い地域からサンプリングして分布状況を明らかにする,の二つを目的に計画された。(1)に関しては,平成5年度に設定された調査定点,青木湖に2点(ヨシ帯,砂礫底裸岸),中網湖に1点(水草帯),木崎湖に2点(砂礫底裸岸,泥底裸岸),において継続して調査が実施された。その結果,湖岸の定点に出現したミジンコ類の季節的な変動がほぼ把握された。ただし,冬期は湖面が結氷しているため予定どおりのサンプリングができず,不十分な結果しか得られていない。また,前年度に問題となった定量採集に関しては,なお装置の完成に至っておらず,改良に関して検討中である。(2)に関しては,今年度は東北地方南部の裏磐梯湖沼群,北九州唯一の自然湖沼である長崎県川原大池,および紀伊半島南部の小湖沼においてサンプリングを行った。サンプリングは秋から冬にかけて行ったが,これまでのところ特筆すべき種は検出されていない。3月中に関東地方の湖沼の調査を実施する予定である。なお,日本列島の枝角類と比較するため,別途研究費(日本学術振興会国際共同研究,研究代表者谷田一三大阪府立大学助教授)を使用してロシア極東地方の湖沼において同様の調査を実施した。
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