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1993 年度 実績報告書

アリ類における2型雄の繁殖行動

研究課題

研究課題/領域番号 05640709
研究機関岐阜大学

研究代表者

山内 克典  岐阜大学, 教育学部, 教授 (30021322)

キーワードアリ / 2型雄 / 繁殖行動 / 性比 / 巣内交尾
研究概要

1963年6月から1964年2月までの間、毎月沖縄でフィールド調査を実施し、アリ類のライフサイクル関連資料及び社会構造と生態的分布との関連に関する資料を収集した。また、岐阜県と三重県において、ウメマツアリとクロニセハリアリの社会構造と生殖行動の調査を行なった。これまでに以下のような知見が得られている。
1.2型雄の形態学的研究から、アシジロヒラフシアリにおいて、有翅雄の交尾器は無翅雄の交尾器の約2倍の大きさであり、有翅雌と無翅雌の交尾器のサイズ差と対応していた。有翅生殖虫と無翅生殖虫との間では互いに交尾することが機械的に不可能であると考えられる。一方、雌がすべて有翅であるクロニセハリアリとハダカアリでは、有翅と無翅の2型雄の交尾器のサイズ差は小さく、1.2倍を越えなかった。実際、両方の雄は同じ雌と交尾することができる。
2.ハダカアリ類のフィールド観察で、巣から外に出てきた有翅雌はすべて受精していたことから、本属の女王はすべて巣内交尾後に分散飛行を行なうことが示唆された。一方、巣内に雄が存在していても、それらが巣から外に出るのは観察されなかった。つまり、ハダカアリでは、有翅雄も無翅雄も巣内交尾が一般的だと考えられる。
3.クロニセハリアリでは、無翅雄は7月から8月まで、有翅雄はおもに8月後半から10月にかけて出現した。無翅生殖虫は巣内で交尾を行ない、有翅生殖虫は結婚飛行を行なった。実験的には、双方の雄は有翅、無翅の2型雌と交尾可能である。しかし、実際には、出現時期にずれがあるため、交尾はおもに有翅生殖虫同士、あるいは無翅生殖虫同士で行なわれると考えられる。性比(重量比)は、有翅生殖虫でほぼ1:1、無翅生殖虫で約1:5で雌に偏していた。これらは、アシジロヒラフシアリの性比と同様(Tsuji & Yamauchi,in prep.)、有翅生殖虫ではランダム交配における性比、無翅生殖虫では巣内交尾(近親交配)による局所的配偶競争における性比として説明できると思われる。

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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