平成6年度には八ヶ岳の亜高山帯シラビソ・オオシラビソ林2か所に設置してある8m×8mおよび6m×6mの方形区において、全個体の樹高を測定した。また成長の遡及計測法によって、全個体の過去の成長経過を計測した。 その結果を解析することにより、樹木個体間の競争様式を、樹幹の直径成長および樹高成長にかんして検討した。 得られた当面の結論は以下のとうりである。 1.林分の成長に伴い、二山型の樹高分布がより発達してきた。 2.それに対して樹幹の直径分布は一山型を保っていた。 3.樹高1.3m以上の個体ではシラビソとオオシラビソの間に成長のパターン(平均成長量や成長量の分散のサイズ依存性)に有意な差異はみられなかった。 4.樹高1.3m以下の小個体ではオオシラビソの方がシラビソより樹高成長が大きかった。 5.小個体の生残率はオオシラビソの方がシラビソより高いという従来からの傾向がよりはっきりと確認された。 6.樹木個体間の競争様式を空間的および非空間的競争モデルを用いて検討したところ、シラビソの成長には二方向的な競争の効果がみられたが、オオシラビソは競争にほとんど影響されない成長を示すという従来からの傾向がよりはっきりした。
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