研究概要 |
ヒメトビケラ科とカクツツトビケラ科についてのチェックリスト(注釈付目録)を刊行した。引き続きシマトビケラ上科(ヒゲナガカワトビケラ,カワトビケラ,クダトビケラ,イワトビケラ,シマトビケラの各科)のチェックリストの原稿を準備中である。 トビケラ類を中心にした既存標本の検討は,本年度は九州大学農学部,農業環境技術総合研究所,大阪市立自然史博物館,京都大学生態学研究センターの所蔵標本の検討を行った。その成果の一部は,現在準備中のチェックリストに収載する。また,一部再記載や分類学的な検討の必要なものについては,新たな資料も加えて別個に論文を作成する。ロシア沿海州及び日本列島の水生昆虫相についての比較検討を,ロシア沿海州の研究者と協同して行った。その成果はウスリー川及び紀伊半島吉野川のトビケラ相として報告をまとめた。 カゲロウ類については,ヒラタカゲロウ類の若齢幼虫(生活史などの研究に不可欠)の種レベルの同定のための特徴を明らかにした。トビイロカゲロウ属については,成虫の生殖器形態と繁殖様式の関連を新たに明らかにした。(竹門:論文準備中)。15EA04:ハエ目については,日本では原産地以外からは確認されていなかったカスミハネカ(Nymphomyia alba Tokunaga)の新産地を発見し,その幼虫を新たに記載し,その生態分布を明らかにした(論文受理済)。また,ユスリカ類とガガンボ類といった河川で重要な生態要素を中心に,種類相と生態分布についての基礎情報を集めている。また甲虫目については,やはり出現頻度の高いヒメドロムシ類の属レベルの分類と生態分布に関する知見を明らかにした。
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