シダ類および針葉樹における暗所でのクロロフィル合成関連遺伝子の構造と発現調節

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05640727
• 研究機関: 富山大学
• 研究代表者: 山田 恭司 富山大学, 理学部, 教授 (70200714)
• 研究分担者: 山本 直樹 農水省, 生物資源研究所・機能開発部, 室長
• キーワード: シダ植物 / 針葉樹 / ダ-ク・グリーニング / クロロフィル合成 / chl遺伝子群 / 葉緑体遺伝子 / RNAエディテング / 分子生物学

研究概要

1.色素体遺伝子chlLおよびchlNのクローンと構造解析:暗所でのクロロフィル合成に関与する色素体遺伝子のうち、今年度は、(1)カラマツからchlL遺伝子を単離すると同時に、(2)chln遺伝子を、ワラビ・ホウライシダ・クロマツ・カラマツから単離した。そして、(3)それらの塩基配列を決定し、構造を解析した。その結果、当初の目的の通りに、シダ植物であるワラビ・ホウライシダと裸子植物であるクロマツ・カラマツとの4種すべてから、chlLとchlNの両遺伝子をクローン化することに成功し、それらのすべての遺伝子構造の特徴を明らかにすることができた。上記の4種のうちカラマツだけは、暗所でのクロロフィル合成能力を失っているが、他の3種と同様に、chlLとchlNの両遺伝子とも機能しうる構造を保持していることが明らかになった。
2.chlL遺伝子およびchlN遺伝子の発現様式の解析:(1)ワラビ・ホウライシダの原糸体においてと、(2)クロマツ・カラマツの芽生えにおいて、それぞれ、chlL遺伝子とchlN遺伝子の転写パターンをノーザンハイブリダイゼーションによって分析した。暗所で生育させた場合、暗所でのクロロフィル合成能をもつワラビ・ホウライシダ・クロマツでは、いずれにおいても、chlLとchlNの両遺伝子の転写産物がそれぞれ遺伝子領域の大きさから予想されるサイズで検出されるが、暗所でのクロロフィル合成能がないカラマツだけは、異常なサイズの転写産物しか検出されないことがわかった。また、これらの転写産物の蓄積量は、それぞれ明所で生育させた場合と顕著な差がないことが明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] 渋谷知子: "葉緑体遺伝子chlL,chlNの陸上植物における分布" Newsletter of Plant Molecular Systematics. 18. 1-4 (1995)
• [文献書誌] Yukawa,Yasushi: "Structure and expression of two-seed specific cDNA clones encoding stearoyl-acyl・・・・" Plant and Cell Physiology. (in press). (1996)
• [文献書誌] Takaiwa,Fumio: "Charactenzation of common cis-regulatory elements responsible for the endo・・・・" Plant Molecular Biology. in press. (1996)
• [文献書誌] Kasai,Makoto: "An inability of chlorophyll biosynthesis in darkness in spite of the presence of ・・・・・" Abs.Internt.Workshop on Genome Struc.and Fune,of Photosyn thetrc Organisms. 28- (1996)
• [文献書誌] Shikata,Kouji: "Structural and functional analysis of plastis genomes from holoparasitic plants,・・・・・" Abs.Internt.Workshop on Genome Struc.and Fune,of Photosyn thetrc Organisms. 39- (1996)
• [文献書誌] 向井 譲: "植物のPCR実験プロトコール" 島本功,佐々木卓治監修(秀潤社), 184 (1995)