研究概要 |
アズキ上胚軸の細胞膜には細胞質に存在するチューブリンとは異なる特徴的なチューブリンが存在する.このチューブリンは表面活性剤の一種であるCHAPSにより可溶化されるが未変性電気泳動のゲルには入らないことからチューブリンはなにか大きな分子と強く結合していると考えられた.抗チューブリン抗体と金コロイドでラベルした二次抗体を用いて電子顕微鏡で観察するとドーナッツ型のリング構造物にチューブリンが存在していることがわかった。この複合体は直径30-40nmでありちょうどセルロース合成酵素複合体と形・大きさ共に極めて似たものであった.UDP-glucoseと1mM Ca^<2+>を添加し27℃でインキュベートするとリング構造の中心からセルロースあるいはカロースと推測される多糖の繊維がはきだされる様に伸長した.この繊維はそのうち多数が集まり太い束を形成した.Mg^<2+>添加では多糖繊維の形成は殆ど観察できなかったことからCa^<2+>が重要な2因子であると考えられる.陰イオン交換樹脂DEAE-Sephacelによりこの複合体からチューブリンを除くことが出来るのでこの複合体での多糖合成におけるチューブリンの機能を調べることが出来るのではないかと考えている.また,この方法により多糖合成複合体の分離が容易に出来るので各構成ペプチドの機能を知るための新しい研究が可能になったと思われる.
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