高等植物細胞には、細胞骨格として分裂、物質運搬などに重要な機能を果たす微少管が存在し、これを構成する細胞質チューブリンが存在する。ところが、最近我々は種々の膜系にもこれと良く似たタンパクが存在することを見いだした。このような微少管を形成しない膜系のチューブリンの共通した特徴は二次元電気泳動における等電点が細胞質チューブリンより塩基側にシフトしていることである。 細胞膜チューブリン大きな複合体に組み込まれていることが明らかになった。この複合体は直径30〜40nmのリング構造をとり、カルシウム存在下でUDP‐glucoseから多糖繊維を形成することからterminal complexではないかと考えられた。実際に試験管内で少量ではあるがセルロースを形成することが確かめられた。この複合体中のチューブリンは、植物ホルモンの添加によりisoformが変化する。 液胞膜にも別のチューブリンが存在する。液胞膜チューブリンはホルモン依存的に細胞が伸長生長する時に消失してしまう。このチューブリンは陽イオン存在下で他のいくつかのタンパクと複合体を形成していることが免疫沈殿法で明らかになった。このなかには、分子量約28kDaのタンパクが見いだされたが、液胞膜に存在する水チャンネルを形成するγ‐TIPではないかと考えられる。液胞膜のチューブリンはγ‐TIPと結合し、調節因子として機能しているのではないかと推測される。
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