アカパンカビの光照射は、分生子形成を促進する。この現象は、我々の目的とする光による位相変化に関係するmRNAの同定には都合が悪い。なぜなら前期現象に関連して多くのmRNAの新たな合成が開始されるからである。そのため分生子形成が暗期でも十分起り、それと光照射菌糸のmRNA差分法で、目的とする位相変化過程に関与する遺伝子の同定のための条件設定を検討した。そのような実験条件下で、数回の実験を行なったが、数個の候補遺伝子の検索に成功したが、最終的にまだ特定遺伝子の同定までには至っていない。この実験は、まだくり返し検討することが必要である。 この実験と同時に、光による位相変化過程にカルモデュリン系が関与していることを発見した。またカルモデュリンアンタゴニストによって影響を受けない変異株の同定にも成功した。この変異株は、時計に関するその他の感受性、例えば周期への効果や、この薬剤素のものに対する位相感受性なども同時に不感受性になっているが、生長はこの薬剤によって顕著に阻害される高感受性変異株であった。この興味ある変異株の解析を現在行なっており、これは1遺伝子突然変異株であるので、これを用いてこの遺伝子のクローニングを計画中である。
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