凍結乾燥した光化学系I粒子を含水エーテル処理することにより、アンテナサイズの小さい光化学系I粒子を得ることができる。このときエーテル中の水分含量を増やすと、アンテナ色素がより抽出されるが、ch1-a/P700比が10以下のアンテナサイズを持った粒子を得ることはできない。本研究では、アンテナサイズのさらに小さい粒子を得るために、エーテルに様々な有機溶媒を添加し、アンテナ色素の分別抽出に対する影響を調べた。アルコールやクロロホルムなどの有機溶媒はエーテルに加えると、溶媒の極性が増すにしたがってアンテナ色素をより抽出するようになるが、殆どの溶媒はP700も同程度に破壊するのでアンテナサイズをさらに小さくすることはできなかった。試みた内でエーテル-アセトアルデヒド混合溶媒のみがアンテナ色素を選択的に抽出し、P700は殆ど抽出しないことが分かった。水と異なり、アルデヒドはエーテルと任意の割合で混ざり合うので、混合比を任意に変えることができ、その結果、最適条件下ではCH1-a/P700比が5-7のアンテナサイズを持った粒子を得ることができた。残っているP700の殆どは光酸化活性を持ち、またP700とP700から最初に電子を受け取るもの(A_0)による吸収帯が大きく現われるため、その室温および低温での吸収スペクトルはP700の酸化還元条件下で著しく異なっている。低温の吸収スペクトルのcurve analysisより、この粒子は、含水エーテル処理粒子に比べて、A_0の近くに位置すると思われるCh1-a-670の数は変わらず、一方、いままでP700に最も近いアンテナクロロフィルであると思われていたCh1-a-682の数がより減少していることが示された。
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