1)ダナリエラのアデニレートシクラーゼ(AC)活性の特性 一般にAC活性は、カルシウムにより高い促進が報告されている。しかし、本実験の材料であるダナリエラではこれまでに阻害が見られるた。この現象を詳しく解析するために、ダナリエラの培養日数とカルシウム効果との関連を調べて、以下のことを明かにした。 【.encircled1.】 10日培養(10g期の後期)の藻体では、10muMのCaの添加により、活性は約3倍に上昇したが、100、1000muMでは約15%の阻害が見られた。 【.encircled2.】 30日培養(定常期の後期)の藻体では、10muMのCaにより35%の阻害がみられ、この阻害効果は、Ca濃度の増加とともに大きくなった。 これらの結果から、低濃度のCaがAC活性に大きく作用し、培養日数により感受性が逆になることから、この藻では、培養にともない環境応答のシステムが変化するという興味あることが解った。 2)ダナリエラのACの精製 凍結した藻体を15%グリセロールを含む緩衝液中でDNase処理し、テフロンホモジナイザーでホモジナイズした後、超遠心により膜画分を得た。これを1MのNaClで処理して可溶化されたタンパク質を酵素粗抽出液とした。この液をポリエチレングリコールで脱水濃縮し、Pharmacia FPLC System(Superrose12カラム)でゲル濾過をおこない、流出画分の活性をラジオイムノアッセイにより測定した。活性は、分子量452kDaの単一のピークを示した。SDS-PAGEでは、ACのものと思われる116kDaのバンドが見られた。現在さらに精製を進めている。 以上のように、この藻のACの特性と精製に関するいくつかの新知見を得た。
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