研究課題/領域番号 |
05640738
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研究機関 | 秋田県立農業短期大学 |
研究代表者 |
増田 清 秋田県立農業短期大学, 生物工学研究所, 助教授 (60157203)
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研究分担者 |
小野 道之 秋田県立農業短期大学, 生物工学研究所, 講師 (50201405)
井上 正保 秋田県立農業短期大学, 生物工学研究所, 教授 (90176446)
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キーワード | 核マトリックス / 核タンパク / ニンジン(核構造) / 不定胚 / 中間経フィラメント |
研究概要 |
ニンジン不定胚をグリセロールを含む緩衝液とともに磨碎したのち、篩による濾過、Percoll密度勾配遠心法等の分離操作により純度の高い核標品を得た。ニンジンの核マトリックスは、非イオン性界面活性剤Triton X-100による洗浄、deoxyribonuclease(DNase)による分解、さらには高濃度の塩を含む緩衝液による抽出処理を経て単離核より調製した。これらの抽出過程で除去される構造、ならびに最終的に得られた核マトリックスの蛋白組成などについては平成5年度の本研究によって既に明らかにされている。さらに、私達は既に核マトリックスに対するモノクローナル抗体のライブラリーの作成にも成功しており、本年度は特に核マトリックスの表層の主要蛋白について免疫学的手法を用いて解析した。その結果以下に要約される知見が得られた。(1)核マトリックスの表層にはSDS-PAGEにより分子量約100kDaの複数の蛋白が局在している、(2)共焦点レーザー走査顕微鏡による観察から、この蛋白は核の表層のみに集積していて、細胞質では検出されない、(3)免疫電顕法によりこの蛋白は核表層の電子密度の高い構造に局在している。 続いて、この蛋白の性格を明らかにする目的で、二次元電気泳動後のゲルからスポットを抽出回収し、V8プロテアーゼにより部分消化したのち再び電気泳動によりペプチド断片を分離し、主要なバンドについて気相ペプチドシークエンサーによりアミノ酸配列を解析した。その結果、動物の中間径フィラメント蛋白と同一の配列をN末端にもつフラグメントの存在が確認された。以上の結果は、植物における細胞核の構造と機能に新たな知見を提供するばかりでなく、分子進化という観点からもきわめて興味のもたれるところであり、今後、cDNAの全一次構造の解明によって、この蛋白の詳細な性質が明らかになるものと考えている。
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