生殖内分泌系における生殖腺刺激ホルモン受容体の発現調節に関する研究

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05640747
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 朴 民根 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00228694)
• キーワード: ホルモン受容体 / 生殖腺刺激ホルモン / 生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン / 下垂体 / 生殖腺 / 視床下部 / cDNAクローニング / down regulation

研究概要

脊椎動物の生殖内分泌系におけるペプチドホルモンの受容体の標的器官における発現調節とホルモンと結合した受容体の標的細胞内での挙動を解明することを目的に本研究を開始し、本年度には次のような成果が得られた。
1)性成熟したC57BL系統マウスの精巣ではFSHの受容体が正常な状態でもdown regulateされ、血中ホルモン濃度に非常に敏感にdown regulationされている。この現象は他の動物ではあまり見られないことであるので、マウス全般で起こる現象であるかをBALB/cとICR/Jc1系統で調べた結果、ICRではC57BLと同様にdown regulationが観察されたが、BALB/cでは見られなかった(論文公表済み)
2)ラットの生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体のcDNAをクローニングし、その塩基配列を明らかにした。雌ラットを用い生殖周期または卵巣摘出後下垂体の中で本受容体の発現の変動を調べた(論文公表済み)。
3)ウズラの生殖腺のLH受容体の内,ホルモンと結合に最も重要なドメインをRT-PCRを用いその塩基配列を調べた。これらの塩基配列を哺乳類のものと比較した結果,ホルモンと受容体の共進化の様子が予想されるようになってきた(投稿中)。
4)ラットの生殖腺刺激ホルモン受容体の細胞外ドメインをRT-PCRにより増幅させ大腸菌で蛋白質として発現させた。発現された融合蛋白質から目的受容体蛋白質を精製し、単クローン抗体の作成を現在行っている。

研究成果

• [文献書誌] Kudo,A.,et al.: "Isolation of rat gonadotropin-releasing hormone receptor cDNA having different 5'-noncoding sequence." Zoological Science. 10. 863-867 (1993)
• [文献書誌] Shiraishi,K.,et al.: "Developmental changes of testicular gonadotropin receptors and serum gonadotropin levels in two -----." Zoological Science. 10. 497-504 (1993)
• [文献書誌] Singtripop,T.,et al: "Prolactin binding sites in normal uterus and the uterus with adenomyosis in mice." Zoological Science. 10. 353-360 (1993)
• [文献書誌] Mori,T.et al.: "Suppression of spontaneous development of uterine adenomyosis by a chinese herbal medicine." Planta Medica. 59. 308-311 (1993)
• [文献書誌] Singtripop,T.,et al: "Age-related changes in gonadotropin,prolactin and growth hormone levels with reference to the ------." in vivo. 7. 147-150 (1993)