1。ユリ科植物以外の単子葉植物36種の花粉からプロトプラストの分離を試み、30種から効率よく分離できる方法を得た。しかし、分離困難といわれている双子葉植物については、試みた87種のうち6種で成功したにとどまった。育種上有用な植物種についての分離を試行中である。 2。ユリ属2種において、花粉プロトプラストを培養し、細胞壁再生後発芽培地上での発芽能力を確認した。さらに柱頭上での受粉方法をいろいろ検討した結果、花柱中への花粉管伸長は認められたが、受精から種子形成に至ったかどうか不明であった。さらに受粉方法を改良中である。 3。花粉から得られたプロトプラストの同種同士を電気的に融合させ、その融合体の花粉機能を検討した結果、原則として数個融合させても伸長する花粉管は1本であること、数個の生殖核は同調して分裂花粉管内で分裂することがわかった。また、異種同士の融合花粉も1本の花粉管を伸長すること、花粉管内を先行する生殖核には種特異性のないこともわかった。葉肉細胞と融合させても花粉管を伸長して生殖核も分裂するので、花粉の機能は高い安定性をもつことが示された。 4。ユリ・タバコの花粉に対しグルクロニダーゼ遺伝子の導入を試みた結果、遺伝子として発現することが確認できた。導入の確率をあげるためプロトプラストへの導入を進めている。
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