研究概要 |
プロゲステロン受容体(PR)はネズミ子官上皮細胞及び間質細胞において生後5日目あるいは15日目に発現しており、卵巣除去により影響を受けないことが明らかになった。性周期及び妊娠初期における子官上皮細胞のPRはエストロゲン(ER)により減少し、逆に間細胞のPRは増加すること、Pは上皮細胞のPRを増加させることから、ネズミ子官におけるPRがこの2種のホルモンで調節されていることを明らかにした。器官培養系でエストロゲン受容体(ER)がE非依存的に発現することも証明できた。また、fos,JunのmRNAが一過性に発現するが、出生直後にEを投与されたマウスの膣では、内因性Eを乏しくしてもこれらガン遺伝子のmRNAが恒久的に発現していることを見いだした。出生直後にDESを投与したマウス子官及び膣のEGF受容体を調べた所、膣でのみ受容体量・親和性が低下していること、またこのマウス膣では特異的タンパク質が合成されていることが、^<35>-メチオニンの取込みから明らかになった。マウスの胎盤を組織培養して、胎盤細胞が妊娠中期までは雌性ステロイド、細胞増殖因子により調節されていることが明らかとなった。ネズミのMetrial gland (M腺)形勢に伴う細胞増殖とPNの局在を調べた所、M腺細胞の分化に支持細胞が関与していることが分かった。SHRマウスにおいてstreptzotocinで誘導した高血糖が乳ガンの発現頻度を増大させた。乳ガンの成長も高血糖により促進されることが分かった。一方、この高血糖は子官腺筋症及び腺ガン誘発頻度には影響を持たなかった。周生期に雄性ホルモン処理されたネズミは成熟後無排卵性の不妊となるが、子官の性ホルモンに対する反応性、分裂活性、プロゲステロン受容体、蛋白質合成等、も著しく変化していることが明らかになった。
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